![]() | 木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫) (2005/07) 西岡 常一、小川 三夫 他 商品詳細を見る |
天:西岡常一
・「木は生育の方位のままに使え」というのがあります。山の南側の木は細いが強い、北側の木は太いけれども柔らかい、陰で育った木は弱いというように、生育の場所によって木にも性質があるんですな。山で木を見ながら、これはこういう木やからあそこに使おう、これは右に捻れているから左捻れのあの木と組み合わせたらいい、というようなことを見わけるんですな。これは棟梁の大事な仕事でした。(p.20)
・癖というのはなにも悪いもんやない、使い方なんです。癖のあるものを使うのはやっかいなもんですけど、うまく使ったらそのほうがいいということもありますのや。人間と同じですわ。癖の強いやつほど命も強いという感じですな。癖のない素直な木は弱い。(p.22)
・「木組みは木の癖組み」(p.43)
・やっぱりたった一本の木でも、それがどんなふうにして種が播かれ、時期が来て仲間と競争して大きくなった、そこはどんな山だったんやろ、風は強かったんやろか、お日さまはどっちから当たってたんやろ、私ならそんなことを考えますもんな。それで、その木の生きてきた環境、その木の持っている特質を生かしてやらな、たとえ名材といえども無駄になってしまいますわ。ちょっとした気配りのなさが、これまで生きてきた木の命を無駄にしてしまうことになるんやから、われわれは十分に考えななりませんわ。(p.54)
・もちろん間違ったことや真面目でなければ叱りまっせ。それは仕事のことばかりじゃないですな。挨拶のしかた、掃除のことから箸の使い方までを含みます。大工というのは仕事ですが、その前に人間なんです。大工という仕事を持った人間なんです。すべてにいいかげんではいかんのです。どこかがいいかげんなら、それが仕事に出ますからな。(p.77)
・ものや技術は教えて教われるものやおまへんのや。その人が覚えたいと思って、やる気にさせて、個性に合わせて伸びるように助けてやるんですな。(p.87)
・性根というのは直せるもんやないんですわ。やっぱり包容して、その人なりの場所に入れて働いてもらうんですな。曲がったものは曲がったなりに、曲がったところに合う所にはめ込んでやらな、いかんですな。(p.101)
・「百論をひとつに止めるの器量なき者は慎みおそれて匠長の座を去れ」(p.105)
・甘やかすのと思いやりとは、まったく別のものでっせ。これをごちゃごちゃにしたら、まとまるものもまとまりませんし、育て方を間違いまっせ。むしろ甘やかすのは思いやりがないのに近いのかもしれません。(p.139)
・大きな仕事は人の考えを無視して、支配する力だけではできないんですな。もしそうやったとしても心のこもった仕事はできません。心のこもった仕事をせな、建物は美しゅうないし、長く持たせられませんな。それでは木の命を生かすことはできません。(p.140)
地:小川三夫
・「先ず第一に仕事にほれ込み、自分自身にほれこみ、周囲の人々にほれるように心がけて、一日々々を充実した心持で過ごされる様に。」(p.175 - 小川三夫氏への手紙)
・棟梁はそういう言い方で答えるんだ。直接「それはこうや」とは決して言わない。だから棟梁には下手に質問できないよ。間違っているかもしれないけれど、自分はこう思うんだというのを持っていないと質問できない。だから聞く前に考えるようになるんだ。(p.241)
・「時間の長さ」を知ろうとしたら、「耐える」ことを体験することが大事なんやないかな。(p.276)
・俺は自分から積極的にこれをまとめて、こいつはここでこの仕事が向いているとはいわないんだ。そんなことをしなくても、仕事を預ければ、みんなのなかで自分の位置というのを自然に感じて、その役割を果たすものだ。(p.307)
・難しいやろ、そんなことはできんやろ、って思うのは頭で仕事をする人たちの考え方や。俺たちはそうやない。道具を手にして材料を持って、やれるかどうか、わからなかったらどうしたらいいかを考える。やる前には考えない。(p.310)
・たとえば、弟子によく言うのは「ウソ偽りがないと自分が思えることを精一杯やっておくんだよ」ということです。毎日毎日の仕事を、精一杯やっておく。その精一杯が未熟であってもいいんです。未熟だろうがなんだろうがその時の自分はごまかしようがないんですから。(p.548)
![]() | 働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書) (2009/05) 駒崎 弘樹 商品詳細を見る |
・「人は何に基づいて行動を起こすか。それは潜在意識の中にある自己イメージです。いちいち入ってくる情報を意識していては非効率ですし、日々何百万と入ってくる情報は処理できません。パターン化してある程度は自動的に処理できるようにしなくてはいけません。ゆえに潜在意識が、その自動処理の基盤となるのです。(略)つまり自己イメージは、私たちの行動を規定するのです。」(ルー・タイス)(p.52)
・「目標は必ず言語化し、繰り返し見て、自分自身に刷りこんでいきなさい。」(同)(p.69)
・部下のキャパシティや仕事のやり方は、実際は見えるようで見えない。働き方というのは、印象論に大変大きく左右されしまう。(略)「何となく把握」を打破し、根拠に基づいた議論ができると、マネジメント力の育成にも繋がっていった。(p.104)
・地域社会のために「働く」(p.144)
・パートナーというものがいて、それに出会うのではない。人はパートナーになっていくのだ。しかもそれを相手に期待するのではなく、自分が変わることで新しい関係性を創りだすことができるのだ。(p.161)
・例えば普段の仕事の中で、これまで気づかなかったことに気づけていける。わき目も振らずに時間に追いまくられていた時には見えなかった社員の成長。誰かのちょっとした気遣い。支えてくださる方の思い。隠れがちな仕事のリスク。囁きに似た出来事や風景が、目に、耳に入るようになる。(略)僕は知ったのだった。知らない人や知らないこと、知らない物語、発見と感動と冒険は、遠くに行くことで得られるのではなく、向こうから訪ねてくるのだ。僕たちが心のチューニングを合わせることで、向こうから訪れる。チューニングにかけるほんの少しの時間を確保すれば。働くことを狭く限定せず、僕たちのあるべき人生の姿を形作る作業全体を「働く」と定義すれば。(p.165)
・アロケーションの巧拙は、残業時間数で見られるようになるはずだ。(p.170)
「働き方革命」のコンセプト
・「長時間がむしゃら労働」から「決められた時間で成果を出す」スマートワークへ
・「自分の(自分のキャリアの、自分家族の)ための仕事」から「自分を含めた社会のための仕事」へ
・「仕事とプライベートを完全分離し、生活のために稼ぐことを『働く』と定義すること」から、「プライベートを含めて、他者に価値を与える(傍を楽にする)こと全てを『働く』と定義すること」へ
・「他者に価値を与える(傍を楽にする)」ことは、大げさなことでなくてもよく、「他者を幸せにすること」「他者の負担を減らすこと」「喜ばすこと」「感動させること」「優しい気持ちになってもらうこと」など、私たちが日常的な感覚で行うことができるものでよい
TIPS
・ミーティング参加者のフルメンバー/サブメンバー制度
・マニュアル化+ジョブローテーション
・メールのサブジェクト工夫:要件+期限
・在宅勤務で生産性向上
・パーソナルひきこもりタイム(強制カフェ送り)
![]() | スターバックス成功物語 (1998/04) ハワード シュルツ、ドリー・ジョーンズ ヤング 他 商品詳細を見る |
・スターバックスは真心で経営し、魂を育み、しかも利益を上げられることを実証している。(p.5)
・自分の心をとらえたものはほかの人たちをも魅了する(p.31)
・人生はニアミスの連続と言ってもいい。われわれが幸運と見なしていることは実は単なる幸運ではないのだ。幸運とはチャンスを逃さず、自分の将来に責任を持つことにほかならない。(p.56)
・不運があきらめから生じることは間違いないが、幸運はそれを目指した者がつかむのだ。(p.70)
・企業と社員の間に築かれた信頼関係ほど大切なものはない。(略)社員が経営者に不信感を抱くようになったとたんに、その企業の将来は危うくなる。(p.74)
・良いことを証明したら、それを一緒に広めよう(p.75)
・事業計画書などは単なる紙切れに過ぎない。いかに見事な事業計画でも、社員がそれを受け入れてくれなければ何の価値もないのだ。(p.133)
・社員が互いに尊敬し合う社風を育むこと。これは興味深い選択肢の一つなどではなく、スターバックスの事業を支える根幹なのである。(p.137)
・経営に携わるようになった当初から、スターバックスをだれもが働きたがる人気のある企業にしたいと考えてきた。(p.165)
・社員を家族のように扱えば社員は誠実に働き、もてる能力のすべてを発揮してくれるだろう。会社が社員を支えれば、社員も会社を支えるようになる。(p.167)
・「ミッション・レビュー」チームの組成→会社の決定がミッション・ステートメントに沿わないと思った社員は、カードにその旨を記入してミッション・レビュー・チームに提出する→重要度の高い問題を検討→三ヶ月おきに開催されるオープン・フォーラムで発表(p.174)
・全パートナーに対し、基本給の年額の12%に相当するストックオプションが与えられた。(p.179)
・今日においても、われわれは四半期ごとのオープンフォーラムで会社の業績を発表し、社員からの質問に応じるようにしている。(p.181)
・社員のひたむきさと献身こそ、スターバックスが競争上優位に立っている最大の要因だ。それが失われれば、われわれは競争に敗れることになる。(p.184)
・最も優れた管理者とは、計画遂行にふさわしい人材を選び出す見識と、彼らのやることに干渉しない自制心を備えた人間である。(セオドア・ルーズベルト)(p.204)
・汝、怠るなかれ。穴にはまったら、それ以上掘るな!行動的に考え、思慮深く行動せよ。最高の時間の使い方は、人のために時間を割くことだ。(ハワードのオフィスの壁)(p.213)
・全パートナーの誕生日と入社記念日に署名入りのカードを送る(p.213)
・良い時も悪い時も一貫して強い指導力を発揮し、周囲の動揺を抑えることが、いかに重要であるか、よく理解できた。特に重要なのは、株価ではなく、会社のために何をすればよいかを基盤にして意思決定をしてきたことだ。これは、スターバックスにおける私の実績の中で最も誇れるものである。(p.252)
・どんな職業であれ、偉大な力を出す人と人並み以下の力しか出せない人の差は、日々自己改革する想像力と熱意を持つか否かで決まる。(トム・ピーターズ)(p.254)
・急成長は犠牲を伴う: 問題はいよいよ複雑になっていく。会社が二倍、三倍の規模に成長しても、価値観に忠実であり続けられるのか。ブランドを傷つけずに、どこまで会社を大きくできるのか。過去の遺産に寄り掛かることなく新機軸を打ち出すにはどうすればいいのか。統制を保ちながら、新しいことを試みる姿勢と自覚を社員に植えつける方法はあるのか。経営の専門家集団を組織しても起業家精神を失わないためにはどうすればいいのか。直ちに手を打たねばならない短期的な問題が続出する中、どうすれば進取の精神に満ちた長期計画を推し進めていけるのか。途方もないスピードで成長しながら顧客に驚きを与え続けるには? システムや業務手順の確立が必要になっても、精神性を失わないためにはどうすればいいのか。答えが書物の中に見つかることは、ほとんどなかった。評価の高い他の企業の行動を観察することが何よりの指針となる。(p.265)
・起業家が果たすべき責任の中で最も重要なのは、自分の価値観を組織内に浸透させることだ。(p.269)
・会長である私の役目は道を切り開くことだ。はるか遠くを見渡し、スターバックスの将来像を描く。どのような競争が起こるかを予測し、その競争を乗り切るために要求される戦略上の変更をあらかじめ想定するのである。(p.273)
・スターバックスのブランドは無限の価値をもった資産である。社内のあらゆる決定は、このブランドの存続と差別化に貢献するものでなければならない。(p.307)
・(売上と利益が6年連続で成長した要因)それは規律と革新、業務手順と創造性、警戒心と大胆さにほかならない。(p.329)
・心からあふれ出たものは、心に注がれる(サミュエル・ティーラー・コールリッジ)
・偉大な企業には夢を描くリーダーと有能な経営者が必要だ。全社は売上を伸ばし、後者は利益を上げる
・絶えず変化し続けるこの社会において、最も永続力のある強力なブランドは真心から生まれる。それは本物であり、必ず生き残る。(p.339)
・強烈なブランド・イメージを持つ企業の経営陣は、「これはブランドを強固にするのか、それとも傷つけるのか」と常に自問し、意思決定の妥当性を検討しなければならない。(p.346)
・何をやるにしても、危険を避けようとしたり、ありきたりの方法で妥協したり、これまでの方式に合わせようとしてはならない。期待されたことをやるだけでは、期待以上の成果を上げることは不可能なのである。(p.376)
・われわれが望んでいるのは、噂によってではなく、われわれの意図と行動によって人々から評価してもらうことなのである。(p.387)
・最もやりがいを感じるのは、才能に恵まれた人が、苦難を乗り越えて、会社とともに成長していく姿を目にする時だ。(p.397)
・「普通なら手の届かないものに、手が届くようにすることがよいデザインの条件なのだ。(p.431)
・いざと言う場合に、気勢を煽るだけの演説をしてはならない。社員は景気のいい言葉ではなく実質的な指導を求めているのだ。必要なのは行動計画と、その実践方法に他ならない。社員が望んでいるのは問題を解決するための責任と権限を与えられることなのである。(p.443)
![]() | やめないよ (新潮新書) (2011/01/14) 三浦知良 商品詳細を見る |
・「今日は楽しそうだったね」と言われたい(p.64)
・どうすれば自分がレベルアップできるのか、常に考えないといけない。僕が横浜FCの若手に、ベテランを追い越すくらい伸びてほしいと願っているのも、彼らと切磋琢磨することで自分の力もアップするからだ。「人のため」であるのと同時に「自分のため」。それでチームは成長する。プロとはそういうものなんだ。(p.71)
・筋肉は使い切ることで状態が良くなるもの。無理をしないと、どんどん無理ができなくなってしまう。(p.108)
・僕らがやっていることは単なるスポーツを超えて、日本にサッカー文化をつくり上げようという挑戦だ。お金をかければできるものでもない。それに最初から携わっていることを、僕は誇りに思っているんだ。(p.109)
・誰かに見られているから気をつけるのではない。失うものの大きさを常に意識していれば行動も変わってくるはずだ、と自戒を込めて考えている。(p.129)
・僕が間近で見た元クロアチア代表のプロシネチキや元ブラジル代表のエジムンドは、トラップ一つとってもレベルが違った。本当にうまい選手はシンプルにプレーするものだ。(p.141)
・ゆとりと油断は似ているけれど、その違いは意識が自分に向いているかどうかだ。(p.155)
・基本ができていないと何をしてもダメ。基本をしっかり押さえたうえで、自分の色を出して楽しむ。それが一番難しいことなんだ。(p.183)
・真の一流はつぶれない。強いハートや自分を信じることで乗り越える。この世界、技術はそれほど差がなかったりするもんだ。一流や名門との差は、そっちの差かもしれないね。(p.207)
・これまで本当にいいサッカー人生を送ってきた。でもそれは昨日までの話。今日もすぐに過去となる。明日をどんな一日にして、どう自分を高めるか。僕はそれだけを考えていたい。(p.219)
・もちろん主張するには自分で考えないといけない。人任せにしないことが大切なんだ。もっと考えを口に出そう。この業界に長く携わる僕たちから、まずは主張していかないと。(p.239)
・失敗して、人生のレールを踏み外すこともある。その時も、フラフラでもいいから止まるな。「一気に100メートル進まなくていい。カズ、1センチでいいから前へ進むんだ。考えるだけではダメだ」。今も胸に残る。過去の実績なんてものはどこかへしまって、今を歩む。150点以上ゴールしたのは昔の話、今の僕にはどうでもいいんだ。(p.245)
・学ばない者は人のせいにする。学びつつある者は自分のせいにする。学ぶということを知っている者は誰のせいにもしない。僕は学び続ける人間でいたい。(p.245)
![]() | 最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと (2006/01) マーカス バッキンガム 商品詳細を見る |
・そのかわり、はっきりとひとつのパターンが現れた。満足度の高い夫婦では、すべての項目において、夫の妻に対する評価が妻自身の自己評価より高いのだ。理由はいくつか考えられるだろうが、ふたりの関係が大いに実り多いと感じている夫は、妻本人すら持っていると思っていない美点を持っていると一貫して信じている。(p.28)
・幸せな結婚生活について知らなければならない「たったひとつのこと」:おたがいの行動についてもっとも寛大な解釈を当てはめ、それを信じること。(p.31)
・マネージャーにしかできない会社への貢献は、ほかの人々により生産的に仕事をしてもらうことだ。(p.52)
・課題を与えられ、理解され、才能が許す限り大きな成功へ導かれると感じて、初めて全力を尽くしたいと思うものだ。だからすぐれたマネジャーは選択の余地がないことを知っている。自分の職務を果たすためには、部下の気持ちから始めるしかないと。部下の成功が何より大事だと思っていることを、本人に心から納得してもらうしか道はないのだ。(p.54)
・私がインタビューをおこなった優秀なマネジャーはみな教育本能を持っていた。状況がどうあれ、彼らが最初に考えるのはつねに部下一人ひとりに係わること、その部下の成功のために何ができるかということだ。(p.55)
・AMA(American Management Association)のスローガン「人を使って仕事をなせ」はすぐれたマネジメントの本質をとらえてない。本質をとらえて訂正するなら、「仕事を使って人をなせ」である。(p.58)
・すぐれたリーダーは、よりよい未来に向けて人々を一致団結させる。(p.71)
・「私は不満を覚える」--これこそリーダーの信条だ。リーダーは決して現状に満足しない。よりよい未来が見えるからだ。「現実」と「可能性」の衝突がリーダーを燃え立たせ、奮起させ、前進させる。これがリーダーシップである。(p.74)
・リーダーの反対語は、したがう者ではない。リーダーの反対語は、悲観主義者だ。(p.78)
・リーダーシップの鍵は、よりよい未来を思い描くだけでなく、それを実現させるのは自分しかいないと、己の全存在をかけて信じることにある。現状をよりよいものに変える責任を引き受けるのは自分しかいないと信じるのだ。(p.79)
・リーダーは自己中心的だという意味でもない。強烈な自我を持つリーダーと、自己中心的なだけの人との違いは、自我の方向性にある。有能なリーダーは、その信念や自己確信や自信を、自分より大きな事業への奉仕に注ぎ込む。自己中心的な人は、自分と事業を同一視する。(p.81)
・マネジャーの出発点は部下一人ひとりだ。マネジャーは部下の才能、スキル、知識、経験、目標といった要素を観察し、それをもちいて彼らがそれぞれ成功できる将来計画を立てる。マネジャーは、部下一人ひとりの成功に専念する。リーダーはちがったものの見方をする。リーダーの出発点は、自分が描く未来のイメージだ。よりよい未来こそ、リーダーが語り、考え、反芻し、計画し、練り上げるものだ。このイメージが頭のなかではっきりしたかたちをとって初めて、リーダーはまわりの人々を説得すること -- 私が思い描く未来で、あなたも成功できる -- に関心を向ける。しかしそういった活動のすべてを通じて、リーダーが専念するのは未来である。もちろん、両方の役割をこなすこともできるが、もしそうするなら、ギアの替えどきを心得ておくべいだ。マネジャーになるときには、人から始める。リーダーになるときには、自分の向かう未来像から始める。(p.83)
・マネジャーとして失敗しないための四つのスキル
1. きちんと人を選ぶこと:どんな才能を求めているかをはっきりさせる、相手に期待する答えを考えながらイエスかノーでは答えられない質問をする、こまかいところまで話を聞く
2. 期待する仕事の内容をはっきり示す
3. 褒めることと認めること:
4. 部下に気づかいを示すこと:部下の生産性が上がるのは、自分を気にかけてくれる人が職場にいると感じたとき
・将来の行動を予測するのにいちばん役立つのは過去の行動であるというのが従来の考え方だが、これだけでは不十分だ。将来の行動を予測するのにいちばん役立つのは、何度も行ってきた過去の行動である。(p.87)
・ちがいを生むのはマネジャーだということだ。マネジャーがチームに期待をはっきり伝えているか否かのちがいだけなのだ。すぐれたマネジャーはそれをどう伝えるのか。上からの圧力や優先事項の指示をどうフィルダーにかけ、どうまとめて、明確な短期目標や測定基準を引き出すのか。答えはひとつ --「つねに」おこなうことだ。すぐれたマネジャーが目標を定めるのは、年に一度や二度ではない。組織から要求されるのがその程度の回数だとしても、すぐれたマネジャーは少なくとも年に四、五回は部下と話し合い、進捗状況を確認し、アドバイスを与え、軌道修正を行う。(p.89)
・すぐれたマネジャーは採用の時点からそれを始める。「何をして給料をもらうつもりか」といった強い調子の質問をすることもよくある。そのあとも、実質的にすべてのミーティング、すべての会話、すべてのプレゼンテーションにおいて、期待するものを明示し続ける。すぐれたマネジャーは部下の誰かと話すたびに、期待をほんの少しでもはっきりと示すチャンスだと思うのだ。不信や失望の表れと受けとられないように、部下一人ひとりの性格に合わせて、巧みに言い方を換えることもあるだろう。(p.89)
・部下から最高のものを引きだすには、彼らの行動から生じる結果を注意深くコントロールしなければならないということだ。ある特定の行動をくりかえしてほしいなら、その行動がかならず、確実・即時的・肯定的な結果につながるようにする。要するに、よい仕事を即座に認めて、褒めるマネジャーになるのだ。(p.90)
・すぐれたマネジャーは部下に甘いということではない。その反対で、業績の悪い部下にはすぐに厳しい対応をする。どの部下にも成功を収めてほしいからだ。すぐれたマネジャーは、気にかけている部下が凡庸な業績に甘んじているのを見ることに耐えられない。意外に聞こえるかもしれないが、気づかいのできるマネジャーは不充分な結果にはすぐに対処するものだ。(p.92)
・卓越したマネジメントについて、すぐれたマネジャーなら誰でも知っている「だった一つのこと」とは -- 部下一人ひとりの特色を発見し、それを有効に活用すること。(p.95)
・真のマネジメントは、解放することである。部下一人ひとりのユニークな貢献、要求、スタイルに完全な自由を与えるよう、つねに職場環境を整える仕事だ。(p.96)
・部下一人ひとりの特色を活かすことの勝利(p.107)
1. 自分の時間を節約できる
2. 部下の方も責任感を持つようになる
3. 職場の一体感が強くなる
4. まわりの世界に健全なレベルの破壊をもたらすことができる(すでにある職位を壊す、各人の裁量の幅についての思い込みを壊す、真の専門性がどこにあるかについての思い込みを壊す…)
5. 個人のすぐれた部分を刺激する
・部下一人ひとりの特色を活用しようと努力し続けるべきか、それとも極端な奇行による損失をくいとめるために、別の人材を探して役割を割りふるべきか。その区別はどこでつけるのだろう。そもそも部下一人ひとりの状況はユニークなのだから、答えはひとつではない。しかしはっきりした基準がひとつある -- その部下が組織に大きく貢献しているかどうかだ。もし貢献しているなら、たいていその部下の特色に合わせて既存の配置をくみかえる価値がある。貢献してないなら、その価値はない。個別化の目的は、部下一人ひとりが内なる人格をはぐくむのを助けることではない。部下が持てる最大限の力で組織に貢献するのを助けることだ。(p.109)
・ある人材を有効に活用するために知るべきこと:(p.113)
1. その人の強みと弱みを知ること。
2. その人にとって何が引き金となるかを知ること。
3. その人独自の学習方法を知ること。
・最近の調査によれば、正確な自己評価が成果を引き出すのはまれであり、むしろ積極的に成果の妨げになるケースが多い。自信だけが成果を引き出せるのだ。たとえその自信が現実的でないとしても。(p.115)
・部下にはりきって仕事をしてもらいたければ、いまとりくんでいる仕事はむずかしいと信じこませることだ。この仕事は難しいと、健全なレベルの敬意を持たせる必要がある。たやすい仕事だと思えば、学習と達成の両方が遅れることになる。(p.117)
・部下の精神状態を次のような方向に持っていくのだ -- 目のまえの課題のむずかしさについては100%現実的に評価し、それを乗り越える自分の能力については非現実的なまでに楽観している。(p.119)
・人の強みは本来強力なものだが、スイッチの入った状態を保つには、正しい引き金を引く必要があることを、すぐれたマネジャーは知っている。正しい引き金を引けば相手は懸命に努力し、妨害にも屈せず仕事をやりとおす。まちがった引き金を引けば、相手は心を閉ざすだけだ。(p.130)
・学習スタイルと教育方法:(p.135)
1. 分析思考型:学習時間をたっぷり与える
2. 行動型:新しい状況に放りこんで、ぶっつけ本番の対応を命じる
3. 観察型:教室から追いだして、マニュアルを取り上げ、経験豊富な社員の横に座らせる
・強みと弱みを見極めるための質問:(p.138)
1. ここ三ヶ月で、仕事がいちばん楽しかった(つらかった)のはいつか?
2. そのとき何をしていたか?
3. なぜそれがそんなに楽しかった(つらかった)のか?
・引き金を見極めるための質問:
1. いままででいちばんうまくいったマネジャーとの関係は?
2. なぜうまくいったのか?
3. いままで褒められたり、認められたりしたなかでいちばん心に残っているのは?
4. なぜそれほど心に残ったのか?
・学習スタイルを見極めるための質問:
1. これまでの仕事で、いちばん何かを学んでいると思ったのはいつか?
2. なぜ多くを学んだのか?
3. あなたにとっていちばんの学習スタイルは?
・個性のちがいを超えて、人々みんなに共通する感情や要求をとらえること。この能力こそ、卓越したリーダーシップの核心にあるもの、「広範囲の共感」と呼ばれる能力だ。(p.146)
・すぐれたマネジャーは個人と企業のあいだの触媒として働く。そしてあらゆる触媒がそうであるように、部下と一対一で向きあって、初めて役割をうまく果たすことができる。すぐれたリーダーが果たす役割はちがう。すぐれたリーダーの仕事は、よりよい未来に向けて人々を一致団結させることだ。そういう意味で、リーダーは触媒ではなく、起爆剤だ。よりよい未来への抑えがたい欲望に突き動かされ、その未来を実現するために周囲の人々をまきこもうと、できることはなんでもする。だから当然、個人のちがいを超えて、多くの人によりよい未来を信じさせ、彼らを奮起させる方法を見つけたときに、初めてその役割を果たすことができる。ことばや行動、映像、写真、数字などを通して、みんなが共有しているものをうまく把握できれば、リーダーとして成功できるし、それができなければ苦闘する。(p.146)
・すぐれたリーダーが、行動の指針としてみな知っている「たったひとつのこと」とは -- 普遍的なことを発見して、それを活用する。(p.146)
・五つの普遍特性:(p.151)
1. (自分自身や家族の)死に対する不安 -- 安全への欲求
2. 部外者に対する不安 -- 共同体への欲求
3. 未来に対する不安 -- 明確さへの欲求
4. 混沌に対する不安 -- 権威への欲求
5. 無価値であることへの不安 -- 敬意への欲求
・多少用心深いこと、未知のものをいくらか怖がることは、人間が環境に適応するための特徴である。(p.159)
・不安を自信に変えるいちばんの手段は、なんと言っても明確さだ。リーダーであるあなたが未来をあざやかに -- 行動、ことば、映像、写真、ヒーロー、数字などを通して -- それを追う私たちがどこに向かっているかわかるように定義することだ。(p.160)
・リーダーの明確さを保つ能力と、人々が抱く自信のあいだには、つながりがある(p.160)
・人がとりわけ明確さを求める四つの領域:
1. 誰のために働くか:ターゲットとなる顧客層を決め、そのニーズをはっきりと描いて見せる
2. 核となる強みは何か:従業員はそこに意識を集中し、元気づけられ、強みをさらに実現しようとする
3. 核となる尺度は何か:「測れるものは管理できる」。未来という森のなかで前進の度合いをたしかめる尺度を示し、あとどれだけ進めばいいのかを明らかにする。尺度をひとつだけ -- 来た道をたどれる数字をひとつだけ -- 与える。従業員が働きかけて影響を及ぼせるもの。
4. 今日できることは何か:体系的(システマティック)な行動と、象徴的(シンボリック)な行動。
・世の中には多くの真実があるが、こうした答え(〜のためだけでなく、〜のためにも働いている)はそれをたくさんとりこもうとしすぎている。その結果が、正確ではあっても頭を混乱させる答えだ。混乱ほど不安を生むものもまずない。(p.167)
・判断力はあるが迷っている顧客のために働こうと方針を改めたベスト・バイは、強力な企業に成長した。私たちのインタビューに答えて、ブラッドはこう言った。「お客さまの知性を信じれば信じるほど、そしてお客さまにさらに知識を与えようと努力すればするほど、いい仕事ができたんだ」(p.170)
・正確さより明確さ(p.182)
・リーダーシップの規律:(p.202)
1. 考える時間をつくる:私が観察した最高のリーダーはみな、多忙な勤務時間のなかで、かならずものを考える時間を作っている。彼らはみな熟考する。反芻する。考える時間がこのうえなく貴重なものだと気づいている。
2. 慎重にヒーローを選ぶ:リーダーであるあなたが賞賛する従業員は、あなたが作りだそうとする未来を示す具体例。
3. 練習する:私たちによりはっきりと未来を理解させるためのことばや、イメージや、ストーリーをくりかえし練習する。未来を語る練習を自分に課す。ことばのくみあわせをいろいろ試す。効きめのない表現を捨て、共感を呼ぶ表現、私たちが求める明確さを提供する表現を繰り返し使う。(p.211)
・継続的な成功のために私たち全員が知らなければならない「たったひとつのこと」とは -- 自分がしたくないことを見つけ出し、それをやめる。(p.234)
・成功は何かの蓄積というより、編集の結果だ。たとえて言うなら、建造物ではなく彫刻である。成功は、積み上げたものの結果ではなく、規律をもって削り落としたものの結果だから。(p.235)
・大きな影響を長期にわたって与えるために必要な二つのこと(p.242):
1. ある役割に秀でるのに必要な生来の才能と熱意があり、その役割特有のスキルと知識を充分身につけていること。
2. 何かに秀でるだけでなく、その状態を保ちつつ、機会をとらえてさらに秀でること。
・アメリカ心理学会(APA)の元会長、アルバート・バンドゥーラの調査によれば、新しい課題にどれだけうまく対処できるかは、自己効力感をひとつの活動から別の活動にうつす能力によって決まる。最良の方法は、新しい課題と以前に成功を収めた課題の類似点を意図的に探すことだ。(p.262)
・成長とは、すでにある個性がより強化されること(p.268)
・個人としても、チームの一員としても、もっとも貢献できるのは役割と強みが一致したときであり、そうなるように職場環境を整えるのはあなたの義務だということだ。(p.278)
・好きになれない活動に目を光らせ、できるだけすばやくそれを排除するからこそ起こる。成功者は油断なく「大好きなことをする」ための時間を守っているのだ。成功を持続するためには、あなたも同じことをしなければならない。警戒をおこたらず、自分がどこでどうやって時間を過ごしているかを評価する。(p.278)
・役割をやめる、役割を微調整する、正しいパートナーを探す、役割のなかであなたの力を引き出す側面を見つける -- これが強みの道から障害物を取りはらうのに、もっとも効率的な四つの戦術だ。(p.298)
Author:kohei - a peaceful*voyage
国際学生NPO日本事務局代表、インドでのベンチャー立ち上げ、投資銀行でのM&Aアドバイザリー、ヘッジファンドでのアナリストを経て、金融ベンチャーの立ち上げに参画。
"Be the change you wish to see in the world" - Gandhi